なんだか、これが自分にとって最高というピックに出会うのは難しいですね。
ジェフ・ベックが指弾きに変えた理由のひとつとして、「ピックに煩わされるのが嫌だから」というのがあるそうです。
分かる気がします。
かといって完全に指弾きにするのには覚悟も練習もいるし大変……と思う凡人のワタクシなどは、自分にぴったり来るピックはないかなと探し続けてしまうのです。
弾き心地、持ち心地も大事ですが、ピックによって音もかなり変わりますね。
「かなり」と書きましたが、これは弾いている側にとっての「かなり」であって、聴いている側からすれば「へ? どこが違うの?」というレベルだと思います。
これって、ほかの機材にも言えることでしょうですが、要は弾く側が「良い音になったぞ!」と思えればそれでいいんですよね。
そのほうが気持ちよく弾けて、結果として良いプレイができる、と思うからです。
なので「かなり」と弾く側は思い込んでしまえばいいのです(笑)。

さて、僕の個人的な好みからすると、材質はナイロンがいいです。
弦の音が素直に出て、かつ深みと高音のきらびやかさがある……気がします(気のせいかもしれません)。
また、ストラトのハーフ・トーンもきれいに出ます(当社比)。
マイケル・ランドウがですね(出た! 機材話になると必ず参考例として挙げられる!)、前はセルロイドでしたが、今はナイロンを使っています。
これはやっぱり、ナイロン独特のサウンドを求めてではないかと思います。
先に出てきたジェフ・ベックも、ライブで「スキャッターブレイン」をやるときだけはHERCOのピックを使います。
HERCOはナイロン・ピックの代表(まあ、昔はピックの代表だったんでしょうけど)で、ジミー・ペイジ、ロリー・ギャラガー、マイケル・シェンカー、エディ・ヴァン・ヘイレン、ニール・ヤングなど、多くのギタリストが使ってきました。
その昔はかなり貴重品だったという話もあります(イギリスなどではなかなか手に入らなかったそうで)。今はジム・ダンロップが権利を買って復刻しているので貴重でも何でもありませんが。
僕も好きで一時使っていたのですが、HERCOにはティアドロップ型しかありません。
僕はどうもおにぎり型が一番しっくり来るのです。
これも僕の個人的な感想ですが、おにぎりのほうが音も太くなります(単純に先がティアドロップほど尖っていないからでしょうね)。
なので、HERCOは使わなくなってしまいました。
ならナイロンのおにぎり型にすればいいじゃないかという話ですが、これがなかなかないのです。
なぜないのか分からないのですが(ま、需要がないからなんでしょうけど)。
しかも僕はハードじゃないと嫌なので、そうなるともっとないのです。
というわけで、ポリアセタールのおにぎり型をここ数年使ってきました。で、いつの間にかすっかりこれに満足していたのです。
ところがですね、この前、部屋に転がっていたHERCOを何気なく使ってみると……あ、やっぱりナイロンいいなあと思ってしまいました。
ううむ、こうなったらナイロンのおにぎり型のハードをちゃんと探そう! と思い立ち、楽器店へ行ってみたのですが、やっぱり全然なく(ミディアムならあったんですが、僕には柔らかすぎで)。
仕方なくネットで探したら、やっとそれを作っている2メーカーを見つけることができました(というほど大げさでもなく、ちょっとググったらすぐ出てきたんですが)。
で、そのうちのひとつのメーカーのピックを購入したのですが、これがかなり良い感じです。
ナイロンならでは響き、おにぎりならではの音の太さ、そして持ちやすさと弾きやすさ(僕的には、ですが)が揃っています。
唯一の不満は色が黒であること(笑)。
白いピックが好きなんだよなあ……(ちなみにもうひとつのメーカーのは赤でした)。
誰かナイロンでおにぎりでハードで白いピックを作ってくれませんかねえ。