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ギター情報サイトTARGIE(ターギー)。ギター新製品、アンプ、エフェクター、ギタリストの情報、ライブビデオ、ギター展示会レポートなど、ギターのことならTARGIEに訊け!

執筆者
shimpei
細川真平 1964年生まれ。音楽ライター/エディター。
ジェフ・ベック、スティーヴィー・レイ・ヴォーン他のCD/DVDのライナーを手がける。また、音楽誌、ギター誌、ウェブ等にも幅広く執筆。
ギターは絶対ストラト主義。
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Harmony Centralの歩き方
2012年08月31日
Harmony Centralというアメリカの楽器サイトがあって、そこに機材に関するユーザー・レビューのページがあります。
http://www.harmonycentral.com/user-reviews/
何か欲しいものがあったり、気になるものがあるとき、時には暇つぶしで(笑)、僕はかれこれ10年ほど、このページのお世話になっています。

すべて英語ですが、満点☆5つでの評価も書かれていますので、それを見るだけでもためになると思いますし、辞書片手に読んでみるのも楽しいと思います(英語の勉強にもなるし)。
ちなみに、僕は英語がそれほど出来るわけではありませんが、音楽関係の英語だけは割と大丈夫という特異体質です(笑)。

さて、このページを10年も見ていると、なかなかベテランになってきます。レビューの読み方のコツがつかめるというか。
そこで今回は、ちょっとそのコツを披露したいと思います。

1. レビューを鵜呑みにしない

このサイトは10年も前にはもっとしょぼかったのですが、いつの間にか書き込み数も増えて、デザインも変わり、立派な感じになりました。
どうやらそれに伴って、メーカーのサクラによるレビューも増えてきたようです。
まあアマゾンだって、新商品が出ると必ず関係者が良いレビューを書き込みますから(これは業界の常識)、当然といえば当然ですよね。
ただ、これは可能性としてですが、ライバル・メーカーが相手の製品をディスるということもあるかと思います(アメリカだし)。
ですので、あまりに評価の高いレビューはもちろん、あまりに低いレビューも鵜呑みにしないほうがよいようです。

2. 値段が高い製品は高い評価を受けやすい

人の気持ちなんてそんなもんですよね(笑)。高い製品を買ったら嬉しくて、悪いところなんて見えず(見えても無視して)、「最高、最高!」と言ってしまうという。
これは、エフェクターだとブティック・メーカーの高額モデルにありがちです。僕も何度もこういうアゲアゲのレビューに乗せられて失敗しました(笑)。
ですので、レビューを読むときに、どれぐらい冷静に書いてあるかを見極めることが大事です。
こういう点はちょっと、とか、このギター/アンプと組み合わせてこういう音を出したいなら最高だが、そうでない場合は……みたいなことが書かれているレビューは信憑性があります。

3. ヴィンテージと比べてのレビューは参考程度に

リイシュー・モデルの場合、ヴィンテージのオリジナルものには敵わない、というようなことを書く人が必ずいます。
これも人情で、オリジナルのほうが絶対良いと頭から思い込んでいる場合がけっこうあります。でも、オリジナルと言っても経年変化等によって、どこまでオリジナルなサウンドを保っているかなんて判断できませんので、こういうレビューは参考程度に。
それに、たまに「俺がオリジナルを20年前に使っていたときにはもっと音が良かった」なんて記憶で書いている人もいますから(笑)。

4. 単なる自己主張に注意

例えば、アンプで歪みサウンドを重視したモデルがありますよね。それに対して、「歪みはいいが、クリーンは使えない」と言って低い評価をする人がいます。
とにかく自己主張したいって感じで、文句を付けるんですね。
でも、良い歪みサウンドを求めている人にとってはそのアンプは最高なわけで、こういう人のせいで☆の数が減ってしまうのもどうかと思います。
もちろん、メーカーが「歪みもクリーンも最高」と謳っているなら、こういうレビューも有益なんですけどね。

5. AC/DC、ZZトップ、ジミ・ヘンドリックスを引き合いに出す

マーシャル、もしくはマーシャル・サウンドを狙ったエフェクターのレビューに多いのが、「コイツはまさにAC/DCのサウンドだ!」、「ZZトップのサウンドと同じ!」、「ジミ・ヘンドリックスの音が出る!」という類。
いや、本当なのかもしれませんが、もう読み飽きました……。しかし、なぜかこの3組はよく出てくるなあ(笑)。
こういうのは、要は王道マーシャル系と言いたいのね、と頭の中で変換しつつ、それ以上の詳細情報が書かれていないかを探して、きちんと読むことが大事です。
ではないと、そのモデルの大雑把な傾向しか分かりませんから(それに、完全にAC/DC、ZZトップ、ジミ・ヘンドリックスと同じ音なんて出ないって。本人が弾かなきゃ……笑)。

6. マイケル・ランドウ、スコット・ヘンダーソン、エリック・ジョンソンを引き合いに出す

同上(笑)。

7. 歴が浅いのに絶賛する人

あるモデルを最大限に絶賛してあって、「ほほう、これはいいかも」なんて思っていたら、最後の「総括」のところにギター歴2年とか書かれていて、ギャフン(死語)となることがあります。
ですので、そこの箇所に先に目を通しておいたほうがいいかと思います。
初心者を馬鹿にするわけではないですが、ある程度経験がないと機材は語れないですよね。要は、比較対照するモデルをできる限り数多く知っていないと、いいも悪いも言えないと思うのです。
だって、カップラーメンしか知らなければ、世界で一番美味いラーメンはカップラーメンになるでしょうから。

8. 値段の割に、という表現

それほど高くない機材の場合、これはすごくいいよ、値段の割に、みたいな表現もけっこうあります。
これは悩みますね。「この値段なのにこんなにいい」なのか、「この値段にしてはいい(でももちろん高いモデルには負ける)」なのか、判断しづらいのです。
でも、頑張ってそこのニュアンスをしっかり読み取りましょう(笑)。

9. レビュアーの音楽性も大事

ハード・ロック、ブルース、ジャズ、カントリーなど、その人の音楽性を確認することも大事です。
ハード・ロックには最適だけど、ジャズでは使えない機材も、その逆もありますから。
これも、途中まで「ふむふむ。これはいいかも!」と思って読んでいて、最後に、なんだよ、俺のやっている音楽と全然違うじゃんか! となることがありますので、最初にざっと「総括」部分を読んでおいたほうがいいと思います。
あ、でも、歪み系エフェクターを散々褒めている人が、「毎日曜日、教会で伴奏しています」なんて書いてあって楽しくなることもありますけど。

10. 有用性のあるレビュー

逆に有用性のあるレビューはどういうものかというと、プロやセミ・プロのミュージシャンが書いているものですね。
それがすべて正しいとは言いませんが、実際にライヴやレコーディングで使ってみての冷静なレビューの場合が多く、これまでの経験からしても、有用性は高いと言っていいと思います。

まだまだありそうですが、とりあえずこのへんで。
さて、このようにHarmony Centralに関してベテランの私ですが、実際にこのサイトのレビューを信じて機材を購入した場合の成功率はどれぐらいかというと……ま、50%というところです。
これはきっとどんなレビューでもそうなんでしょうが、結局人の好みはそれぞれですので、自分で使ってみないと実際のところは分かりません。
本だって、アマゾンのレビューに書いてあることと実際に読んだ感想は違うのが当たり前ですからね。
となると、レビューというのは、それ自体が個人の自己主張のためにある……というふうに考えるのが安全なのかもしれません。
あ、ちなみに、このコラムに書いてあることも信じないほうがいいと思います(笑)。

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ウッドストックでの「アメリカ国歌」
2012年08月20日
1969年8月15〜17日、アメリカ・ニューヨーク州ベセルで、ウッドストック・フェスティヴァルが行われました。
トリのジミ・ヘンドリックスが出たのは18日の朝となってしまいましたが。

ここでジミが演奏した「アメリカ国歌」はこのフェスの象徴となりました。
もっと言えばヴェトナム戦争の泥沼にはまっていた当時のアメリカの象徴であり、60年代という時代そのものの象徴だったかもしれません。
ちなみに、この演奏の中でジミがフィードバック・サウンドで表しているのは、ヴェトナムでの空爆の音だったと言われています。

音楽的な観点から見ると、この演奏のみがやたらと取り上げられのは、ジミにとってもこのフェス全体にとってもどうなのだろう? という気がしないでもありません。
ただ、この曲がジミにとって大きな意味を持っていたことだけは確かです。

多くの人は、彼がウッドストックで初めてこの曲を演奏したと思っているようですが、そうではありません。
これ以前からステージで取り上げており、「国歌」をこんな風に演奏するとは、と非難をされ、妨害行為すら何度も受けています。
それでも彼は演奏し続けたのです。

ジミは'61〜'62年、アメリカ軍のパラシュート部隊に所属しました。その部隊は'65年にヴェトナムに送られています。ジミと共に訓練を受けた友人たちが、ヴェトナムで散っているのです。
そういうことを考える時、ジミが演奏した「アメリカ国歌」の重さがより感じられると思います。

もうひとつ考えてみたいことがあります。
当時、ヴェトナムの最前線に行かされた兵士は、黒人や(白人も含む)貧困層が多かったと言われています。富裕層の白人の子息は後方部隊に配属されたり、国内勤務ということすらありました。また、カナダへ移住して徴兵逃れをした人たちもいました。

ジミのファンは多くが白人でした。つまり彼は、ヴェトナムの最前線に送られる可能性のない、もしくは少ない、もしくは徴兵逃れをする手立てを持っている人たちの前で、毎晩演奏を続けたわけです。

ウッドストックの聴衆も、圧倒的に白人でした。マリファナに酔って「ラヴ&ピース」と叫んでいる、白人ヒッピーたちがほとんどでした。
彼らの前で、ジミがどんな気持ちで「アメリカ国歌」を演奏したのか。
何があそこまで過激なサウンドとプレイを生み出したのか。
想像を巡らせると、胸が詰まるような気がしてしまいます。

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歪みサウンドを世に送り出した人物
2012年08月02日
以前このコラムで“歪み”についての考察を書きました。
レコーディングされた最初の歪みサウンドは、ジャッキー・ブレンストンの「ロケット88」という曲であることも。
http://www.targie.com/b/001/index.php?FID=blog/detail&ENTRY_ID=47

実はもう1曲、最初に歪みサウンドがレコーディングされたと言われている曲があるのです。
それは、ハウリン・ウルフが1951年に録音した「ハウ・メニー・モア・イヤーズ」です。
ウルフはマディ・ウォーターズと並ぶシカゴ・ブルースのドンですが、これはまだシカゴに出る前、メンフィスでの録音です。
ギタリストはウィリー・ジョンソン。シカゴではヒューバート・サムリンがウルフの右腕として活躍し、ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトン、スティーヴィー・レイ・ヴォーンらに大きな影響を与えましたが、'53年までのメンフィス時代にはこのジョンソンがギタリストを務めました。

さて、ではハウリン・ウルフの「ハウ・メニー・モア・イヤーズ」をお聴きいただきましょう。


(説明文にあるとおり、1959年のアルバム『モーニン・イン・ザ・ムーンライト』に収録されています)。

うーん、歪みまくっていますね(笑)。
ちなみにこれは、パワー・コード(コードのルートと5度のみを押さえるやり方。特にハード・ロック系では迫力を生み出すために有効)が史上初めて使われた曲とも言われています。

それでは、「ロケット88」と「ハウ・メニー・モア・イヤーズ」のどちらが先かというと、「ロケット88」は'51年の3月録音、「ハウ・メニー・モア・イヤーズ」は5月と、「ロケット88」に軍配が上がります。

面白いのは、両者ともサン・スタジオで録音されていること、そしてサン・レコードのオーナーであるサム・フィリップスがプロデュースしていること!
前回書いたように、「ロケット88」のギター・サウンドは、「壊れたアンプから偶然出て来た歪んだサウンドをプロデューサーのサム・フィリップス(サン・レコードの創始者で、後にエルヴィスを世に送り出す人物)が気に入り、“意図的に”レコーディングに使った」わけですが、どうやらそれで味をしめたフィリップスが、同じサウンドを「ハウ・メニー・モア・イヤーズ」でも使った、というのが正解のようです。

レコーディングの詳細が不明なので、「ハウ・メニー・モア・イヤーズ」での歪みサウンドをどうやって生み出したかは分からないのですが、ギター・アンプのスピーカーにわざと穴を開けたというのが考えやすいところです。
もしくは「ロケット88」で使われた壊れたアンプをフィリップスが譲り受けていたか……。

間違いなく言えることは、エルヴィス・プレスリーを世に送り出したサム・フィリップスは、それ以前に歪みサウンドも世に送り出していたということです。
その隠れた功績は、エルヴィス発掘よりも大きいかもしれません。
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