先日、リップスティック・ピックアップが付いたストラトを入手しました。
詳細は省きますが、スティーヴィー・レイ・ヴォーンをこよなく愛する僕ですので、アレ(のレプリカ)と思っていただければです。
で、今日話題にしたいのはリップスティック・ピックアップについて。
もともとはダンエレクトロが50年代に作ったシングル・コイル・ピックアップで、当時は本物の口紅のケースを流用していました。
リップスティック・チューブ・ピックアップとも呼ばれます。
スティーヴィーの音はすごく良いのですが、このピックアップ自体の評判はあまり良いとは言えないようです。
低域が出ないとか、中域しか出ないとか、サステインが足りないとか、いろんなことが言われます。
でも、僕が使った感じではすごくバランスが良く、サステインも十分にあります。
載っているギターとの相性もありますし、それ以外の環境要素も関係してくるので絶対とは言えませんが、僕はこれ、本当に素晴らしいピックアップだと思います。
それと、僕のはセイモア・ダンカン製なので、ダンエレクトロのオリジナルと同じとは言えません。
スティーヴィーのもチャーリーズ・ギター・ショップのチャーリー・ワーツがリワインドしたものだそうですが、ダンカン製も同じような(巻き数を増やすとかの)モディファイ仕様になっているのかもしれませんね。
あと、これは多くの人が言っているとおり、とても音がクリアです。
なので、ハーフ・トーンがすごくきれいに出ます。
歪ませても音が濁らない感じがあります。クリアな芯が残るというか。
それに関して、普通のストラトと交互に弾き比べてひとつ分かったことがあります。
ストラトの通常のピックアップというのはポール・ピース(マグネット)が6本あって、ひとつがひとつの弦を担当していますよね。
ですので、チョーキングをして弦がポール・ピースとポール・ピースの間に行くと、音が少し不安定になります。
特に歪ませていると、ワゥン、ワゥン、という感じで微妙に濁りとうねりが生じるのが分かります。
エレキ・ギターというのはこういうものだと思っていたし、それがいい感じでもあるのですが(笑)、リップスティック・ピックアップにはこれがありません。
だからクリアな音なんですね。
リップスティック・ピックアップの構造をネットで調べると、ケースの中に1本の長いマグネットが横たわっているのが分かりました(実は、ストラトと同じ構造のものがケースの中に入っていると思い込んでいました、ワタクシ……)。
つまり、横たわった1本のマグネットが全部の弦をまとめて担当しているので、チョーキングしたときの弦の位置による不安定さが生じないのですね。
あ、そうか、これってビル・ローレンスのL-250など、ポール・ピースがブレード状になったピックアップと同じじゃないか、と気づきました。
ビル・ローレンスさんはやっぱり偉大だったんですね。
評価が高いことは知っていましたが、見た目が嫌いで一度も使ったことがなくてごめんなさい。
でも、これからも使いません、だって僕にはリップスティック・ピックアップがあるもの(笑)。
さて、スティーヴィー以外にもリップスティック・ピックアップ付きのストラトで素晴らしい音を出しているギタリストがいます。
スティーヴ・キモックです。
3月に来日しますので、彼のリップスティック・ピックアップの音を生で聴くためにライヴに行きたいなあ、と思っています。
もちろん、演奏が素晴らしいのも分かり切っていますしね。
スティーヴ・キモック・バンド「Cole's Law」