2008年に行われたスティーブ・ルカサー(Steve Lukather)のインタビューをお届けします。
この年、スティーブ・ルカサーは5枚目となるソロ・アルバム「Ever Changing Times」をリリース。
そのプロモーションのために来日、インタビューとなりました。
その後2023年までにさらに4枚のアルバムと、TOTOでも2015年にニュー・アルバムを発表し、来日公演も何度も行われています。
またこの時はTOTOとボズ・スキャッグスのジョイント来日公演が予定されていて、そちらの話題もこのインタビューで語られています。
今回は再掲にあたり、動画ではカットされていた部分をテキストでご紹介します。
結構語ってくれていたので、もったいないですよね。
インタビュー動画
上記動画は2008年に収録されたものです。
初蔵出し・テキスト版インタビュー
Q:59年製のレスポールはもってきていないんですか?
スティーヴ(以下:S):いないよ。あれは高いからねぇ。ケースに入れて厳重にしまってあるよ。プレイはここにあるようなギターでしているんだ。ヴィンテージものとかのすごくいいコレクションはあるけれど、これが僕のプレイするギターなんだ。ニュー・アルバムでプレイしているギターはここにあるものだけだよ。
Q:ギターを始めたきっかけは?
S:1964年のビートルズのファースト・アルバム、『ミート・ザ・ビートルズ』だね。両親から『ミート・ザ・ビートルズ』とギターをもらい、ビートルズをエド・サリヴァン・ショーで見たんだ。それが僕の人生をすっかり変えたよ。僕はジョージ・ハリスンになりたくってね。そして何年か後に、本当に幸運で有り難いことに、ポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンと、それぞれ別々にだけれど、一緒に仕事をすることができた。夢のようだったよ。ビートルズの曲をビートルズと一緒にジャムしているんだからね。すごいことだったよ。
Q:最初に手に入れたギターは?
S:まだ持っているよ。両親がランプに直してくれて、くれたんだ。KAYのアコースティック・ギターで、ストリングスはこんなになっていたりして、弾くのが大変なギターだったよ。ヒドい代物で、10ドルぐらいじゃないかな。それをずいぶん長いこと弾いていたよ。ティーンになってようやくいいギターを持てた。子供の頃は人のギターを借りて、バンドでプレイしていたんだ。なにしろ、両親は僕が大きくなったら飽きるだろうし、僕のことをそんなにいいミュージシャンだとは思っていなかったからね。でも、このとおりだ。僕はいいギターを高く評価するよ。ヒドいギターがどんなものか知っているからね。
Q:最初に練習した曲は?
S:うーん、何だろうなぁ。いい質問だなぁ。最初に弾いたのを覚えている曲は……、最初はこんなコードやポジションを覚えて弾いていたけれど。誰の曲よりも最初に弾いたのを覚えているのは、ヴァン・モリソンの曲だね。ところで、これはジミー・ペイジが弾いているんだけれどね。知ってるだろ。8歳とかでこういう曲をプレイできたから、毎回快感だったよ。そういう曲を11〜13歳の子たちと一緒にやっていた。いつもなぜか年上とプレイしていたんだ。そのほうがどういうわけか音楽がラクにできてね。
でも、不思議なことがあったよ。というのも、うまくできず四苦八苦していたら、ある日突然……。今でもあの瞬間を覚えているよ。僕は実家の玄関の脇のベランダに座っていた。すると突然ピンときて、実際にプレイできたんだ。まるで神が降りてきて、「OK、それやれっ」と言ったようだったよ。
それに、すごく奇妙なことなんだけど、僕を妊娠中の母に霊能力者が近づいてきて、「あなたには男の子が生まれ、将来はミュージシャンになる。7歳で音楽を始め、とても成功する」って言ったんだ。でも、母にとっては息子がミュージシャンになるなんて悪夢のようなお告げだ。なにしろ1957年だから。でも、そうなった。60年代初めにビートルズを聞き、いつもロック・スターになるって言っていた。両親は泣いていたけど(笑)。
でも、僕にとって物事は順調に進み、僕はとてもラッキーだったよ。神様、ありがとう。感謝します。
Q:最初に買ったレコードは?
S:『ミート・ザ・ビートルズ』だよ。その後は音楽への欲求で満足できなくなった。音楽、音楽、音楽だった。
Q:プロになったきっかけは。
S:練習だね。僕はハリウッドで育った。ロスでね。だから育った環境がたまたまこういう素晴らしいミュージシャンたちに囲まれていたし、みんなすごく成功した。セッション・ミュージシャンとしてでもね。僕のハイスクールのバンドはとんでもないものだったけれど、みんな今では有名だ。
でも、これって僕がずっと望んでいたことなんだ。プロのミュージシャンになるのをずっと望んでいたんだ。
7歳から14歳半までは耳で覚えてプレイし、その後音楽のレッスンを受けて苦労して楽譜を読めるようにした。そしてチャンスを求めるうちにポーカロ兄弟と知り合い、それが決定的な瞬間になったんだ。
一緒に育った友人のマイケル・ランドウは素晴らしいギタリストで、今週、東京でライヴをする。彼は素晴らしいから見に行くつもりだよ。僕たちは12歳ぐらいの頃から友だちで、一緒にずいぶん練習したし、一緒にいくつものバンドにも参加したんだ。そうしてお互いを伸ばし合った。彼は素晴らしいから、「どうするのか」って、一緒にジャムをしたり、練習したり、バンドで一緒にプレイしたり。
ポーカロ兄弟とは同じ頃に知り合ったよ。バンドでプレイし、ジェフと知り合い、スタジオ・ミュージシャンについて学び、興味をもった。それで、どんなことをしているのか、どんな風に集まっているのかを学んだんだ。そのうちデヴィッド・ペイチと知り合い、スタジオ・ミュージシャンやすでに成功を収めている人たちと知り合った。彼らに気に入ってもらえて、仕事のギグを紹介してもらい、それがうまくいって次のギグにつながり、何年もした後、こうしてここに座っているわけさ。
僕は適時適所に居合わせられて、とても幸運だったし、恵まれていたよ。世界には素晴らしいミュージシャンが大勢いるけれど、僕が得たようなチャンスを得られない場所にいるのかもしれないから、僕はとても恵まれていたし、それを認識しているよ。だから僕は素晴らしいのではなく、ラッキーだったんだ。
Q:永遠に憧れのギタリストは。
S:うーん、とても難しいな。どのスタイルによってかで違うから。だから、誰でもうまく弾く人のファンだと言おう。個人的に好きな人はいるけれど、名前をあげだしたら切りが無いし、何千もあげなければならなくなる。
最初のギター・ヒーローはジョージ・ハリスンだった。だからそこから始めよう。で、その後登場した人全員、ヘンドリクス、ジェフ・ベックは天才だし、さらに続けていくと、ジミー・ペイジ、クラプトン、次の世代になると、アル・ディ・メオラ、アラン・ホールズワース、ラリー・カールトン、マイク・スターン、とずっと続けられる。スタイルのある素晴らしいギタリストは本当に数多いからね。あと、わかりにくい人も好きだ。デイヴ・ギルモアは精神的なヴァイブをもらったよ。ジェネシスのスティーヴ・ハケットは僕がキッズの頃とてもダークだったし、イエスのスティーヴ・ハウもいたね。そしてスタジオ・ミュージシャンたち。カールトン、ディーン・パークス、リトナー。少し前のファンク・ガイたち。デイヴィッド・T・ウォーカー、レイ・バーカーJr。そしてカントリーのプレイヤーたち。と、名前を繰り返していけば3日かかるよ。
Q:では最後の質問に。あなたにとって、ギターとは?
S:僕の人生だね。僕の家族、子供や妻、親戚に親友たちを別にしてだけど。ギターは誰よりもずっと一貫して友だちだな(笑)。我が子以外で、唯一僕と一貫した関係を持ち続けているものだよ。僕にずっと良くしてくれてきたよね。ありがとう。
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インタビュアー:Shimpei Hosokawa 通訳:Sanae Toyota